義歯(入れ歯)
やむを得ず歯を失った時の選択肢には義歯(入れ歯)、ブリッジ、インプラントなどがあげられます。
義歯は全て歯を失った時の総義歯と一部の歯を失った時の部分義歯に分けられます。それぞれの義歯の材質や設計で保険適応の義歯と自費診療の義歯に分類されます。
当院では、十分なカウセリングの後に、患者様の要望や環境を考慮し、今後のリスクや問題点をピックアップした上で、どのような義歯が選択肢になるかを説明させていただきます。
Br(ブリッジ)
歯を失った場合の欠損補綴の方法にブリッジというものがあります。ブリッジとは欠損部位の前後に歯がある場合、その前後の歯を支台として連結した補綴物であり、それにより形態・機能・審美性を回復させることができます。
長所
- 自身での歯の着脱の必要がありません。
- 咀嚼効率が良いです。
- 審美性に優れています。
短所
- 前後の歯の歯質削除量が多くなります。
- 並行性のとれていない場合、神経をとらなければならない可能性があります。
- 支台の歯の負担が大きくなります。
インプラント
やむを得ず、歯を失ってしまった場合、次に歯をどのようように入れるか考える必要があります。
当院では、患者様の口腔内写真や、顔貌写真を撮影し、各レントゲン診査、咬合診査を行い、今後のリスクや問題点をピックアップした上で、どのような治療が必要になるかを説明させていただきます。
その中で、失ってしまった歯と一番近い感覚で噛むことのできる治療がインプラントです。口の中のQOLを高めることが、認知症の予防や、誤嚥性肺炎の予防につながると言われています。人生100年時代になりました。一度、口腔内の問題点を改めて見直し、考えてみませんか?
インプラントと天然歯の比較(荷重)
天然歯 | インプラント | |
---|---|---|
連結 | 歯根膜 | 機能アンキローシス |
衝撃力 | 減少させる | 増大させる |
可動性 | 可変 | ない |
伝達性 | 歯根膜による緩衝・分散効果 | 骨頂部に集中する応力 |
被圧偏位 | 50~250㎛ | 0~10㎛ |
直径・横断面 | 大・非円形 | 小・円形 |
充血の兆候 | あり | なし |
固有感覚 | 高・早期接触の高度な認識 | 低・早期接触に対する負荷の増大 |
臨床所見 | エナメル質の摩耗・破折 歯頸部アブフラクション 歯の動揺 |
上部構造の破損・スクリューの緩み フィクスチャーの破損・支持骨の吸収 |
Misch CE 2008
インプラント治療計画
- 症例選択
(インプラント治療の可否) - 埋入部位の選択
- 使用するインプラントの選択
- 使用するインプラント数とスペース
- 外科術式の選択
- 1回法、2回法の選択
- 即時荷重、早期荷重、遅延荷重の選択
- 補綴デザイン、マテリアルの選択
- 治療手順の選択
咬合治療
歯をできるだけ長持ちさせたい、食事に困らないようにしたいという気持ちは患者様も私達医療従事者も変わりません。
平成元年より8020運動といった、80歳になっても20本以上の歯を残そうという運動があります。8020を達成している方のほとんどは正常咬合であり、咬合に問題のある方は達成していないことが多いです。
また、咬合が確立していない場合、歯の移動、歯の破折を引き起こしたり、歯周組織や顎関節にダメージを負ってしまったりすることがあり、さらなる不正咬合や歯の脱落、顎関節症の原因になることもあります。
当院では、life stageや残存歯の状況に応じて、その方にあった方法を検討させていただきます。歯を失っている場合、咬合治療をしていく上で、インプラントが必要になることも多々あります。今一度ご自身の歯を長く使うためにも、咬合を見直してみませんか?
咬合とはちょっとしたことでズレを生じてきます。図のように1本の歯のう蝕や欠損により、歯の移動や傾斜を引き起こし、咬合状態が変わってきてしまいます。つまり、咬合のズレを最小限にとどめるためには、早期治療が必要ということになります。ただ、う蝕や欠損に対しての治療だけを行なっていると、なぜそこにう蝕ができたのかや、なぜそこの歯を失ったのかという原因を追求しなければ、またう蝕を作ってしまったり、治療して入れた人工物も壊れてきてしまいます。
咬合とは1本の歯では成り立ちません。ダメージを負ってしまっている歯が一本であっても、全体を俯瞰した治療計画が必要になるのではないでしょうか。